こんにちは、睦月サラです。
この記事では、傷だらけの悪魔 第212話『玖村詩乃④』のネタバレと感想を書きます。
第211話では詩乃は学校を異常な家庭を忘れる場所にしようとしたが、できませんでした。一方ちはるは、母親が詩乃の父親と歩いているところを見つけました。
【傷だらけの悪魔】第212話『玖村詩乃④』のストーリー
詩乃の父親とちはるの母親がホテルへと腕を組んで入っていった。
舞『ちはる…』
ちはる『そういうこと…あっそう。』
目には涙を浮かべながら放心の様子でつぶやくちはる。
ただでさえゆっくりと緩んでいった歯車が、外れるときが近づいていた。
….*…..*…..*…..*…..*…..*…..*…..*…..*…. *…..*….
詩乃が家に帰って母の様子を見に行った。暴れた後だろうか、床には洗濯物や割れたガラスが飛び散っている。母はただ静かに座り込んでいた。
詩乃は部屋に足を踏み入れると、ガラスの破片を踏んでしまった。パキッと音がしてさらに小さな破片に割れる。
詩乃『あぶなっ…』
最初は暴れるたびに、「大丈夫?」となだめていたけど、慣れっこになると辟易してしまう。母が病気であることも、母自身がつらいこともわかっている。
でもわたしだって仕方ないとわかっていても、いら立ちもする。我慢できなくて責め立てたくもなる。
わたしだって、子供なんだもん!!
詩乃『ねえ、少しは片づけたら?ねえ。ケガしてるの?血は止まった?見せて。』
詩乃が母親の血のにじんだ指の様子を見ようとすると、素早く腕を振り払い拒絶する。
詩乃『…見せてっていってるじゃん。治療しないの?』
『言うこと聞いてよ!私だけでしょ、心配してあげるのは!!』
詩乃の母は突然表情を変えて、落ちていた木片で思い切り詩乃の頭を殴った。
詩乃は気を失う。
『…ね、…めんね…ごめんね。』
詩乃は部屋の真ん中で横たわっていた。気が付くと、母親が隣に座り、まるで念仏を唱えるかのように同じ言葉を繰り返していた。
『ごめんねごめんねごめんねごめんねごめんねごめんねごめんねごめんねごめんねごめんね…』
詩乃はゆっくりと起き上がると、額に鈍痛を感じて顔をしかめた。制服のブラウスには血がついていた。
詩乃『…う?!血…?』
洗面所の鏡で確かめてみると、額が青紫色に大きく腫れあがっている。傷口を洗うと、血が滲んできて、色がちょっとえぐい。さっきよりもさらに腫れているようだ。
どのくらい寝ていたのだろう。頭だし、病院に行ったほうがいいのだろうか。
額を抑えながら洗面所を出ると、ドアの近くに詩乃の母親が立っていた。
詩乃母『ごめんね。。ごめんね。ごめんね。ごめんね。ごめんね。ごめんね。ごめんね…』
そして詩乃の母は両手で顔を覆う。
詩乃は母親の様子を見て思う。なぜ、あなたが被害者のような顔をしているんですか?
しかし、ごめんね攻撃は詩乃の一言を待っている。言わないと、やめそうにない。
詩乃『…いいよ』

一瞬で表情を明るくした母に、詩乃は無性に腹が立った。だけど、母には何も言わない。わかるわけないから。
詩乃は着替えて、薬局に向かう準備をした。紺のワンピースを着て半袖のパーカーを羽織る。赤いな斜め掛けのバッグに、茶色のサンダルを履く。傷が目立たないように、カーキのキャスケットを被った。
家の外に出て、なんとなく空を見上げた。みかん色の空と、白い雲。
詩乃は静かに涙を流した。
以上。
第212話『玖村詩乃④』の感想
詩乃はこの時、中学一年生。父は家に寄り付かず、母は病気で実質育児放棄の状態です。
大切にするために産んだんじゃないのかな…悲しい。
詩乃は、食べることにも寝る場所にも困ってなくて、私立中学にも通っていて。
外から見たらそこそこ裕福な女の子に見えるけど、全く幸せじゃない。
頼れる大人がいないって子供にとってこんなに孤独になるものなんですね。
日常的に『我慢』が当たり前だった詩乃が、涙を流した。
母から殴られたことはきっかけに過ぎなくて、糸がぷつんと切れちゃったんだろうな。
詩乃の家庭環境はほんとにつらいですね。
せめて、この時点で詩乃の祖母に頼ることができていれば…と考えずにいられません。
今日はここまで!
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